センスタイムジャパンの研究開発部門をご紹介します

STJ

こんにちは、センスタイムジャパン研究開発センター長の上野山です。

最近めっきり冷えてきましたね。ちまたでは、今年は夏からいきなり冬になったという声もあるほどです。私たちの研究拠点の一つがある京都は通りの葉が色づき始め、紅葉を見に大勢の観光客が集まってきています。新型コロナも落ち着きを見せ始め、充電していたパワーを発揮する良い季節になってきたと思います。

さて、センスタイムジャパンはコンピュータービジョンや深層学習を活用して、自動運転や道路交通管理システムなどの産業活用のための応用開発を行っています。それぞれの開発は、各事業部門に所属する技術者と、横通しで研究開発を行う部門「研究開発センター」の技術者が連携して進めています。今回は「研究開発センター」の簡単な紹介をしようと思います。

研究開発センターの役割

Our Mission

研究開発センターの役割は、ドメインやプロジェクトの垣根をまたいで横断的に研究と開発を行うことで、自動運転などの各事業の加速を支援することです。具体的には、事業ステージを先読みして必要となるだろう要素技術の先行準備、事業部の技術難易度の高いプロジェクトに参画し遂行支援、若手技術者の育成、センスタイムグループの海外研究拠点との連携などを担っています。

例えば、ロボットでの活用を想定して研究開発をすすめていたVisual SLAMの技術やナレッジを応用することで、自動運転向けの技術開発を効率的に進めるといったことができます。認識アルゴリズムに限らず、技術の現場適用における評価の効果的な進め方や認識ソフトウェアのアーキテクチャパターン、Quality・Cost・Deliveryを両立する開発プロセスや仕組みについても、あるドメインで試行して得られた知見・プラクティスを他のドメインへ応用することで、プロジェクト推進を加速化すると同時に、ナレッジをより汎用的なものへ引き上げることができます。

このような活動の中で得られた発見や洞察は、MIRUやACCVなどコンピュータービジョン系学会などへの論文発表や、QA4AIなどコンソーシアム活動を通じて社外共有をおこなっています。逆に、学術学会やコンソーシアムを通じて社外の有識者と情報交換を行うことや、大学との共同研究などによる先行的な基礎研究への参画などにより、技術トレンドを常にキャッチアップして自らの研究開発に役立てています。

研究開発センターの行動指針

行動指針

私たちの行動指針は、大きく捉えると、事業でのニーズを捉え事業に貢献することです。これはそれぞれの事業部門と変わりません。しかし、貢献の方法にこだわっています。

事業でのニーズを念頭に置きつつ、①世の中の最先端の潮流を捉え、②先進的な考え方や方法を取り込んで発想・応用し、③理論をふまえた実践・実践を通じた理論の強化を行い、④横展開・汎化を進めていく、それによって事業上の技術課題を解決していきます。

直面している具体的な技術課題だけにとらわれすぎず、その課題の本質は何なのか、解決のためには何が最も筋が良いか、それらを深く考え実践を通じて検証していくことが重要と考えています。新しい考え方に触れて咀嚼することで日頃から発想力を高めておき、課題の「秘孔」を突いていきます。

研究開発センターの構成・チーム概要

研究開発センターには、現在30名弱の社員が在籍しています。
職種としては、大半がアルゴリズム研究開発を担当するリサーチャー職とソフトウェア開発やプロセス開発を担当するエンジニア職で構成されており、それぞれの割合は約1対1になっています。
職種割合

年齢分布は20代〜60代まで幅広く分布しておりますが、20〜30代で過半数となっています。
年齢分布

所属ロケーションは京都が中心ではありますが、最近東京所属メンバーも増えています。また、COVID19以来テレワークが普及しており、個人やチームで相談しながら主体的に場所を選んでいただいています。
所属ロケーション別のメンバー割合

また、研究開発センターの中は機能別の4チームで構成しています。研究チームとソフトウェア開発チームとで4分の3近くを占めていますが、その他のチームとも連携しながら開発を進めています。
所属チーム別のメンバー割合

ここでは各チームの役割を少し簡単にご紹介します。

研究チーム

今後の事業活動に求められる、基礎的・共通的なアルゴリズムの考案や研究基盤の拡張を推進します。並行して、事業部門が主導するプロジェクトにも入り込み、アルゴリズムの課題分析・考案・検証を支援しています。

ソフトウェア開発チーム

事業部門の事業戦略や開発プロジェクトと連携して、認識ソフトウェアのプロダクト化を推進しています。また、認識ソフトウェアプロダクトとして競争力となる基盤技術を獲得し社内展開する役目も担っています。

開発プロセスチーム

現場で安心して活用できるAIプロダクトをお客様の期待以上の品質・期間・コストで実現するためのプロセスや仕組みの構築と浸透を担っています。また、8月にブログ記事で紹介したような「AI品質保証」の体系化も進めています。

知財チーム

AI技術・プロダクトを世の中へ効果的に展開していける知財戦略の立案と推進を担っています。

各チームでの具体的な取り組みや近況については、このブログの他の記事もぜひご参照くださいませ。

成果発表会 2021Q3

さきほどお伝えしたように研究開発センターでは、”事業を超えた「理論と実践」の横展開”を行動指針としています。その実践例の一つに、昨年より四半期毎に各チームでおこなった研究開発の成果を社内で共有する発表会があります。他のチームメンバーのみならず、事業部門などのメンバーにも幅広く公開し、「あんなことができるならこういうことにも使えないか」「こういうニーズにつながりそうなので、その技術をああいう方向に拡張できないか」など、新たな技術的な取り組みや実施事例を他の事業に活用したり技術課題を広げていくきっかけになることを期待しています。

直近では10月の頭に7〜9月分の成果発表会を開催しまして、次のような成果が共有されました。

  • 視線推定データ収集用 3次元自動アノテーションシステムの開発とその原理(研究チーム)
  • 高速道路監視カメラ映像からの事故・落下物認識技術の開発とその原理(研究チーム)
  • モバイル向けNPUへの深層学習モデル実装プロセスの拡張(SW開発チーム)
  • 飲食業向けPoCの認識アルゴリズム・システム開発(SW開発チーム)
  • 認識ソフトウェア開発における品質を犠牲にしない工数・期間半減チャレンジの進捗(開発プロセスチーム)
  • 画像認識システム試作開発プロジェクトの成否をわけたものは何か(開発プロセスチーム)
  • その他、各チームの活動概要

▽発表内容からの一例
発表内容の例

昨年初頭からリモート勤務が主体になっておりますので、隣のチームが何をしているのかチラ見する機会はどうしても限られてしまいます。技術的好奇心を相互に刺激しながら、引き続き切磋琢磨を続けていきたいと考えています。

研究開発センターの今後

センスタイムジャパンでは今後さらに自動運転・高度運転支援システム(ADAS)などの自動車ドメインや交通インフラドメインなどの領域への深層学習・AI技術の応用を加速していきます。そのため、全社として人員規模3倍拡大などを進めていますが、研究開発センターも横断的技術で成長を支えていくために人員増強・組織強化を計画しています。

このあたりについても、また機会があればご紹介していきたいと思います。
それではまた。

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