社会課題とAIの可能性

はじめまして、センスタイムジャパンの冨手です。 自動運転のためのアルゴリズムを開発する部門に所属しています。 今回はアドベントカレンダー企画ということで、社会課題とAIの可能性について、少しお話しさせていただきたいと思います。

社会課題って?

最初に、「社会課題」と聞いてあなたは何を思い浮かべますか? 一般的に、社会課題というと、労働問題・人口問題・人種問題・ジャンダー問題・都市問題・住宅問題・貧困問題など、多岐にわたります。どの問題もちょっとやそっとのことじゃ到底解決ができないくらいに、どれも大きな問題(課題)です。

私は、立教大学の社会デザイン集中講座に参加して、これらの問題のほんの触りの部分を学びました。それは、私がこれまでに培った知識や技術をどうやって世の中に還元していけるのかを考えるための足がかりを得たかったためです。

結論から言うと、最新のAI技術(画像認識、対話、ロボットによる支援、など)を持ってしても、多種多様な社会課題に対して、AI技術が貢献できることは、非常に小さくかつ限定的です。

例えば、ジェンダー問題に対して。 AI技術でTwitterやSNSでの投稿を監視し、それに引っかかる発言や画像が検出されたら、ユーザーにアラートを出す、というようなことは簡単に実現可能です。しかし、ユーザーの考え方や意図の本質を理解し、ジェンダー問題の根本にある正しい知識を必要に応じて与え、諭すようなことはできません。また、ジェンダー問題は個々の人のマインドも重要ですが、個々人を取り巻く環境側の社会構造としての仕組み(ルール)も同時に変えなければ、本当の意味での解決には至りません。このような社会構造の仕組み自体をAIが変える、というのもまた荒唐無稽な話だと思います。

つまり、AI技術は多くの社会課題に対して、優れた便利な「道具」としては機能することが多そうだけれども、まだまだ人の意図、問題の本質を理解して解決に導く、ということは到底できないと思います。それに多くの人がそこまでのことをAIには求めてはいないと私は思います。

一方、最近では、GoogleがAI技術を応用した様々なソリューションを披露するイベントを行っていたり1、過疎地域における高齢者の足として、自動運転が実証実験の段階に入る2などしています。このように、AIを有効な道具として活用しながら、少しずつ社会課題にアプローチする動きが活発になっています。

センスタイムも、人員削減の貢献につながる映像からの異常状態検出や認識、医療へのAI活用、自動運転技術の開発、AIのロボット技術への応用、次世代のAI人材を育てるための教育など、今後益々重要になる社会課題を解決するための要素技術を日々開発しています。

私は、将来的には、センスタイムの持つ様々なAI技術をいろいろな社会課題に適用して、多くの子供達が笑って過ごせる未来になるように技術開発を進めて行きたいと思っています。

[1] Google - Solve with AI

[2] 過疎地において自動運転サービスは持続可能か

投稿者プロフィール

ktomite
先進運転技術部所属、リサーチマネージャー。昔からロボットの眼を作りたくてこの道に。最近は、仕事とマンションの理事会のお仕事で忙しい日々。
最新の投稿