品質よもやま話(その2)~おいしい「品質」~

STJ

こんにちは。センスタイムジャパンの宿口(しゅくぐち)です。
よもやま話の続きです。その2、の今回は品質の種類についてお話します。

「品質が良い」って?

昨日(その1)もこの話題で始めましたね。昨日は「品質」の”定義”をお話しましたが、今日は「品質」の種類のお話しです。
「品質=製品を使う人の要求」が現在では最も適しているという話でした。
では、その品質は”何”に対してなんでしょうか?

「品質」というからには、具体的な物(品)をイメージしますが、さて、それだけでしょうか?
まず、価格が気になりますし、いつ手に入るかも気になります。そう、いわゆるQCD(Quality、Cost、Delivery)です。
ファストフード風にいえば”「うまい」「やすい」「はやい」”です。
これまでは製品とサービスを対象にしていたのですが、近年ではサービスを際立たせるためにQCDS、などとも言います。”「うまい」「やすい」「はやい」「しんせつ・ていねい」”です。

製品開発では、品質、コストと納期のバランスをとってお客さまが求める品質を提供することが大事です。
また、このQCDSにうち製品やサービスのQ(およびS)を”狭義の品質”、QCDS全体を”広義の品質”と呼ぶこともあります。

このようにいくつもの要素の組み合わせがありますので、”何に対して”ではなく、”何に対しても”品質というものがあるのです。
これらの違いは、お客さまや関係者との話し合いの流れから判断せざるを得ないのですが、何の品質であるかを常に意識しておく必要があります。

参考ページ:品質の種類とは? カイゼンベース株式会社
https://kaizen-base.com/column/31808/

それでも「品質が良い」って?

まだ続けますか?って? まぁ、あともう少し...
「品質=製品を使う人の要求」なのですが、車を例にして人や時代によって要求が変わるというお話もしました。
これはどういうことでしょうか?このこと(だけではないですが)を顧客満足度の観点で考察し、お客さまが求める品質をモデル化したものの一つが東京理科大名誉教授の狩野紀昭先生が提唱された「狩野モデル」です。

狩野モデルでは、品質を「当たり前品質」「一元的品質」「魅力的品質」に分類して説明しています。

参考ページ:
狩野モデルについて(一般財団法人 日本科学技術連盟)
https://www.juse.or.jp/departmental/point02/08.html

「当たり前品質」はその名の通り、備わっていて当たり前の機能などの品質です。車で言うなら「走る」「止まる」「曲がる」です。
この「当たり前品質」は当然(当たり前)の品質ですから、備わっていても顧客満足度に影響はありません。備わっていないと顧客満足度が著しく低下します。

「一元的品質」は、その品質の程度の上昇に比例して顧客満足度が上昇する性能や見栄えなどです。車で言うなら「燃費」「乗り心地」「仕上げの良さ」です。
この「一元的品質」は技術の進化と連動しやすい傾向にあり、技術者は”ハイスペック=高品質”と思いがちですが、行き過ぎた性能や機能を顧客がもてあますし、かけたコストの割には顧客満足度が上昇しない事例は事欠きません。

「魅力的品質」はその名の通り、備わっていると製品の魅力が増すというものです。かつての車では「カーナビがある」「ドライビングモニタがある」「安全ブレーキがある」などでした。なぜ”かつて”といったかというと、現在(2021年の終わり)では「当たり前」になりつつあるためです。今現在では”何が”車の魅力的品質なんでしょう?(スーパーカー世代だと、相変わらず走行性能とデザインですかねぇ)

「無関心品質」は、品質の程度が変化しても顧客満足度が変化しないものを言います。隠れたところの出来栄えなどが例に挙げられます。(が、隠れたところの仕上げを見る玄人筋もいらっしゃいますね。)プログラムの美しさはプログラマにとっては重要な品質ですが、プログラムが搭載された製品を使う人にとっては”どうでもよい”ことなので、製品使用者にとっては「無関心品質」です。

「逆品質」は、その品質が使用者によって顧客満足度が異なるものを言います。いわゆる「好み」というもので評価するのが難しいものです。

「魅力的」といっても…

一見「魅力的品質」を強化することで顧客満足度が向上し製品の競争力が強化されるように見えます。でも昔から「〇〇は三日で飽きる/慣れる」と言われるように人は慣れてしまい、飽きてしまう生き物です。「魅力的」と思っていたことが時を経て「当たり前」や「一元的」な品質に変化していきます。車の安全ブレーキも当初は「魅力的品質(機能)」として登場したと思いますが、今では「当たり前品質(機能)」です。(そもそも”安全”は常に「当たり前」なのですが…)

わたしの拙い経験ですが、ある装置の起動時間を(デバイスを変えてですが)数分から10秒程度に短縮したことがあり社内ユーザに大変感謝されました。しかし、三日後には「遅い!」とクレームが上がり「え?」となったことがあります。起動時間が短縮されたことで、多くのテストが実施できるようになったため立ち上げ回数が多くなり、総起動時間を無視できなくなったためです。さすがにデバイスに関して起動時間を0にすることはできないので、テスト方法を工夫するこで事なきを得ましたが…
”長い起動時間”に対しての”短い起動時間”が「魅力的」だったのが、慣れと状況の変化によって「当たり前」に変化したように思います。その点では、起動時間はまさに「一元的」なのでしょう。

そして求められる品質は変化し続ける

センスタイムジャパンはDNNを用いた認識アルゴリズムを有しており、これらは組み込んだソフトウェアに認識機能という魅力的品質を加えてきました。
しかし、認識機能の応用分野が拡大し応用製品が増加することで「魅力的」であった機能が製品の主な機能として「当たり前」となり、認識性能が「一元的品質」と化してきました。ただ、DNNはその特殊性からか、どのように「当たり前品質」であるかを評価する手法は2021年現在定まっていません。それだからこそ、センスタイムジャパンの品質活動は先を見据えつつも、DNN応用製品に関しての「当たり前品質」を常に高いレベルで達成し続けることが重要と思います。

よもやま話(その3)に続く…かな?
♯ う~ん ”おしい品質”の話になっているような…